2013年4月10日水曜日

スイカ

スイカ(西瓜、学名: Citrullus lanatus)は、果実を食用にするために栽培されるウリ科のつる性一年草。また、その果実のこと。
○概要
原産は、熱帯アフリカのサバンナ地帯や砂漠地帯。 日本に伝わった時期は定かでないが、室町時代以降とされる。西瓜の漢字は中国語の西瓜(北京語:シーグァ x?gu?)に由来し、スイカという日本語発音も広東語のサイクワァが訛り転化したものである。中国の西方(中央アジア)から伝来した瓜とされるためこの名称が付いた。夏に球形または楕円形の甘味を持つ果実を付ける。果実は園芸分野では果菜(野菜)とされる[1]が、青果市場での取り扱い[1]や、栄養学上の分類[2]では果物あるいは果実と分類される。
○特徴
・葉・花
葉は切込みが深く、丸みを帯びている。葉身は約25cm。つる性である。雌雄異花で花色は黄色。雌花は子房下位。水に濡れると花粉が破裂するため、受粉後約4時間以内に降雨に遭うと着果せず、自家受粉では良質な実は着果しない(これは、自家不和合性という遺伝的特性によるもの)。
・実
果実の外観は緑色に深い緑色の縦縞が入ったものが一般的であるが、薄緑色のものや黒に近い深緑色のものもある。同じウリ科の果菜類であるメロンは、主として甘く熟した果皮の部分を果肉として食べるが、スイカの果皮は内側の薄い層しか甘く熟せず、主に種子をつける胎座の部分を食用とする。果皮はキュウリを僅かに甘くしたような味だが、生のまま果皮まで食べることは少ない。日本で縦縞模様の品種が広まったのは昭和初期頃と言われ、それまでは黒色の無地で「鉄かぶと」と呼ばれていた。果肉の色は赤もしくは黄色。大玉の品種で糖度 (Brix) は11~13度程度。果実中心及び種子周辺の果肉の糖度が最も高い。果肉は、水分が多く90%以上。様々な品種があるが、一般に果肉は紅、甘くて多汁である。
○野生スイカ
野生のスイカは、ほとんど甘みがないが、水分だけは胎座部分に大量に蓄えられている。自生地が乾燥地帯であるため、野生動物は水分を目当てにスイカの果実を摂食することになり、胎座の水分ごと種子を飲み込んで糞とともに排泄し、種子散布が行われる。人類によるスイカの利用もこの水分を目当てに始まり、同時に脂肪と蛋白質に富んだ種子をも食用にするようになったと考えられる。
○利用
果実を薄切りにしたり、小片に切ったりし、好みによって食塩を少量振りかけて食す。特殊なものとしては源五兵衛(げんごべえ)と呼ばれる品種があり、幼果を粕漬けにする。果肉を食べ終えた後の皮は、外側の固い薄皮を除いて、漬物や酢の物、煮物や汁物などに使える。生のままだとキュウリ、煮ると冬瓜に似た食感になる。スイカの果肉及び果汁を加熱濃縮して、西瓜糖(すいかとう)と呼ばれる食品が作られる事がある。ジャム状の食品で砂糖が入っていないが、スイカ自体の糖分によって甘味がある。ジャムや甘味料の代わりとしても用いられるが、健康食品として用いられる事が多い。この他、ジェラート、ゼリー、缶詰にされる事もある。盛岡冷麺やアワビの水貝では、トッピングとして用いられる。
○地域色
アジアでは種子を炒って歯で割り、中身を食べる地域が多い。中国では西瓜子と呼ばれ、酒のつまみ、料理、菓子などに用いられており、炒って味付けされたものは日本に輸入されている。普通のスイカよりも大きな種をつける、採種専用の品種も存在する。またスイカの原産地であり利用や栽培の始まったアフリカでも、種子を炒って粉末にするなどし、食材として利用する食文化が存在する。特に原産地に自生する果肉の苦味の強い近縁種は、果肉自体は人間の食用に適さないので飲料水以外の生活用水として利用し、種子のみを食用とする。また、スイカ皮や、より品質の高い果実を収穫するために摘果した小さな未熟果実の漬物・ピクルスもポピュラーである。日本ではスイカ割りが夏の風物詩である。イスラエルではブルガリアチーズを添えて食べられている。
○成分・効能
果肉や種子に含まれるカリウムは疲労回復ならびに利尿作用があるため、暑さで体力を消耗し水分を過剰摂取することで起こりがちな夏バテに効果があるとされている。
○生産
スイカの生産において、圧倒的な地位を占めるのが中華人民共和国である。2004年の統計 (FAO) によると、世界生産量9562万トンのうち、71%(6831万トン)を中国一国で生産している。2位以降はトルコ(382.5万トン、4%)、イラン(215万トン、2%)、ブラジル(172万トン、2%)、アメリカ合衆国(167万トン、2%)である。以下、エジプト、メキシコ、ロシア、大韓民国、スペインが続く。日本の生産量は45万4100トン(0.47%)に過ぎない。
○日本における流通・消費形態
まるごと販売されるのが基本であるが、スイカはかなり大きな果実のため、日本の今日の家族形態の大半を占める、小規模な核家族では冷蔵庫等で保存しにくい、食べきれない、という問題がある。そのため、八百屋、果物屋、あるいはスーパー等では、1/2、1/4、1/6等に切断し、フィルム包装の上冷蔵したものを販売していることも多い。かつて農村の大家族では、井戸で冷蔵保存し、一度に消費し切るだけの人数がいたし、都会でも濃密な近所付き合いがあり、隣近所に配布(いわゆる「おすそわけ」)されてしまったため、こうした問題は存在しなかったのである。また、指先の打診で中身の品質を判断できたような熟練した店員がおり、同じ地域のメンバーとして消費者と信頼関係が構築されていた商店街の小規模商店が衰退、減少した今日では、切断したものの方が、消費者自身の目によって中身を確認できるという利点もある。また、装飾・贈答用に特製のケースに入れて栽培した四角いスイカや、異常に巨大に成長した物なども販売されて好評を博している。ただし、値段は通常のスイカの5~10倍程度であり、庶民が簡単に買える物ではないということも事実である。また、味も大味になりがちとの説も存在する。
○栽培
栽培時には、連作障害やつる割病に弱いため、台木としてユウガオやカボチャなどを用いる接木栽培が通例である。コストのかかる輪作などによって、これらの障害を回避して生産された、スイカ自身の根によって育った果実は、高級品として取引されている。
○品種
スイカの品種には、果肉の色が黄色や白色のもの、また種子をコルヒチン処理し倍化させることで一代雑種(F1)の三倍体にして種を無くした種なしスイカがある。軟X線照射花粉の授粉による種なしスイカ作出も行われている。富山県入善町では、「ジャンボスイカ(黒部スイカ)」と呼ばれる長形大玉種が栽培されていて、平均重量15Kg、最大30Kg程度に成長する。
○日本の主な品種
・赤肉系大玉品種
祭ばやし、祭ばやし777、縞無双、必勝、春のだんらん、夏のだんらん、竜宝、暁ひかり、日章、翠章、貴ひかり、富士光、マイティー21、朝ひかりSR、サマーキッズ、甘泉、甘喜、甘湧、夏まくら、キャノンボール、月美人、バルビレッジスイカ
アイスクリーム 明治34年に奈良県でアメリカから導入
・種なし赤肉系品種
ほお晴れ(F1)
・小玉系品種
ひとりじめ、ひとりじめ7、姫甘泉
・黒皮系品種
タヒチ(ばくだんスイカ・ダイナマイトスイカ・でんすけすいか等の商品名で流通)、月美人(黒皮・黄肉)
・長形品種
マダーボール
あっぱれ(長形大玉)、うり坊(長形小玉)、金竜西瓜、姫まくら、夏まくらJr.
黒部スイカ(米国産「ラットルスネーク種」)
・黄肉系品種
黄太郎、富研クリーム、イエローキッズ
・オレンジ色品種
サマーオレンジ
・花粉専用品種
SA-75
・漬物用品種
源五兵衛(和歌山県)
○季語
スイカは秋の季語としても用いられる。これはスイカの旬が立秋(8月7日頃)を過ぎる頃であるからで、この時期は暦の定義では秋になり、秋の季語として使われるわけである(近年の歳時記では時代に即して夏の季語とするものもある)。また、盂蘭盆で施餓鬼を行う地域では、餓鬼棚にスイカを添えることがある。これは、餓鬼となった亡者の喉の渇きを癒す為でもある。
○病害虫
スイカ果実汚斑細菌病-病原細菌はウリ科雑草のアレチウリ、カラスウリに病原性を有するが、アマチャヅルには病原性がない。病斑を形成した発病苗やウリ科雑草は2次伝染源となる可能性がある。スイカ作付け圃場周辺にカラスウリ、アレチウリが自生している場合は、抜き取って処分する。
○スイカの爆発
2011年、中国の村で、収穫前のスイカが自然破裂する現象が、相次いで起きた。肥大促進薬の関与も疑われているが、原因は不明。地元当局は「スイカ爆発事故調査チーム」を結成した。






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