2017年1月3日火曜日

キャベツ

キャベツはアブラナ科アブラナ属の多年草。野菜として広く利用され、栽培上は一年生植物として扱われる。名前は英語に由来するが、さらにその語源はフランス語のcaboche(頭)から。別名の甘藍(かんらん)は中国語名の甘藍から、玉菜(たまな)は結球する性質に由来する。
○特徴
キャベツは結球(丸く玉になる性質)のイメージが強いが、品種によって結球するものとしないものがある。また、同じ原種に由来するケール、カリフラワー、カイラン、メキャベツ、コールラビ、ブロッコリーなどと同様に長い品種改良の過程を経ているため、多くの品種がある。ビタミンC、ビタミンUを豊富に含む。キャベツが属するアブラナ科の野菜にはがん予防効果があると言われており、アブラナ科のイソチオシアネートの効果とも言われている。
・結球
キャベツに限らず、結球する野菜は葉の成長ホルモン(オーキシン)が裏側に偏ることでその形態をとる。一般に流通しているグリーンキャベツの場合、外葉が18-21枚になってから結球が開始し、葉序に従い螺旋状に茎頂を包む。結球時、茎はほとんど伸長せず、短縮茎となる。断面を見ると、中心に近い葉ほど内側を向いているが、これは外側が先に育ち、内側はその後から出葉するため次第に混んでくるためで、消費者が店頭でキャベツを選ぶ際に、大きさではなく重さで選ぶのはこのため。
○来歴
・起源
古代よりイベリア人が利用していた原種がケルト人に伝わり、ヨーロッパ中に広まったとされるが、当時は野菜より薬草として用いられ、古代ギリシャ・古代ローマでは胃腸の調子を整える健康食として食されていた。アテネのエウデモスが書いた『牧場論』に最初のキャベツの記述が見られる。初期の栽培品種にはブロッコリーのような茎があったが、ローマ時代に改良が進み、茎はなくなり大型化していった。その後、9世紀頃に野菜としての栽培が広まった。現在日本で普及しているものは、12世紀から13世紀のイタリアで品種改良されたものが起源とみられる。18世紀にアメリカ合衆国へ渡ると、より肉厚で柔らかく改良が進んだ。
・日本での普及
幕末の1850年代に伝わり、明治にかけて外国人居留地用として栽培されたが、一般の日本人が口にすることはなかった。1874年(明治7年)、内務省勧業寮がのちの三田育種場で欧米から取り寄せた種子で栽培試験を行ったのが、本格的な生産の始まりとされる。試験地は北海道に移され、北海道開拓使が発行した「西洋蔬菜栽培法」に、キャベイジの名で記載された。 1893年(明治26年)には外国人避暑客のために、長野県北佐久郡軽井沢町で栽培が始じまった。 また、1945年(昭和20年)頃まで、一般的に「かんらん」と呼ばれていた。 大正時代に品種改良が進められ、寒冷地に適することから、栽培は北海道のほか、東北地方や長野県で拡大したが、洋食需要が限られた戦前にはそれほど普及しなかった。戦後、食糧増産と食の洋風化が相まって生産量は急激に増加し、1980年代にはダイコンと並ぶ生産量となった。これ以前にも、江戸時代前期にオランダから持ち込まれ、一部で栽培されていたとみられる。貝原益軒が1709年(宝永6年)に出版した『大和本草』にはオランダナ(紅夷菘)として「葉は大きくて艶がなく白っぽい。花はダイコンに似る。おいしい。3年で花が咲き、カブの仲間である」と紹介されている。しかし食用として広まることはなく、むしろ観賞用としてハボタンを生むこととなった。また、ハボタンがケールの品種であることから、渡来したのはキャベツではなくケールだったと考えられる。
○病虫害
モンシロチョウ(青虫)などの格好のエサになるため、食害(食痕)が問題となる。無農薬栽培の手法として、キャベツの畝毎にチョウ類の進入を許さないようネットを張る手法も取られるが、手間が掛かることもあり、販売価は通常のキャベツの倍近くになる。家庭菜園の場合は、秋蒔き栽培にすると農薬の使用量を抑えやすい。



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