2017年6月14日水曜日

キキョウ

キキョウ(桔梗、Platycodon grandiflorus)はキキョウ科の多年性草本植物。山野の日当たりの良い所に育つ。日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。万葉集のなかで秋の七草と歌われている「朝貌の花」は本種であると言われている。絶滅危惧種である。
○形態
根は太く、黄白色。高さは40-100cm程度。葉は互生で長卵形、ふちには鋸歯がある。下面はやや白みがかっている。秋の花のイメージが強いが、実際の開花時期は六月中旬の梅雨頃から始まり、夏を通じて初秋の九月頃までである。つぼみの状態では花びら同士が風船のようにぴたりとつながっている。そのため "balloon flower" という英名を持つ。つぼみが徐々に緑から青紫にかわり裂けて星型の花を咲かせる。雌雄同花だが雄性先熟で、雄しべから花粉が出ているが雌しべの柱頭が閉じた雄花期、花粉が失活して柱頭が開き他の花の花粉を待ち受ける雌花期がある。花冠は広鐘形で五裂、径4-5cm、雄しべ・雌しべ・花びらはそれぞれ5本である。なお、園芸品種には白色や桃色の花をつけるものや、鉢植え向きの草丈が低いもの、二重咲きになる品種やつぼみの状態のままほとんど開かないものなどがある。
○利用
・生薬
キキョウの根
キキョウの根はサポニンを多く含むことから生薬(桔梗根という)として利用されている。生薬としては、根が太く、内部が充実し、えぐ味の強いものが良品とされている。去痰、鎮咳、鎮痛、鎮静、解熱作用があるとされ、消炎排膿薬、鎮咳去痰薬などに使われる。主な産地は韓国、北朝鮮、中国である。桔梗湯(キキョウ+カンゾウ)や銀翹散、十味敗毒湯、防風通聖散、排膿散などの漢方方剤に使われる。
○文化
秋の季語。花の形から「桔梗紋」が生まれた。美濃の山県氏、土岐氏一族は桔梗紋を紋所にしていた事で知られている。明智光秀も土岐氏一族であり、桔梗紋を用いていた。安倍晴明が使用した五芒星を桔梗印と呼び、現在の晴明神社では神紋とされている。


ハイビスカス

○広義の用法
アオイ目アオイ科の下位分類たるフヨウ属 Hibiscusのこと。また、そこに含まれる植物の総称。英語での Hibiscus は一般にこちらを指す。「ハイビスカスティー」に用いられる花は、通常、ローゼル(Hibiscus sabdariffa)と呼ばれるフヨウ属のものである。
○狭義の用法
日本では、そのなかでも熱帯および亜熱帯性のいくつかの種がとくに「ハイビスカス」と呼ばれ、南国のイメージをまとった植物として広く親しまれている。園芸用・観賞用としていくつかの種が「ハイビスカス」として流通する。その代表的なものはブッソウゲ(仏桑華、Hibiscus rosa-sinensis)である。

ヒイラギ

ヒイラギ(柊・疼木・柊木、学名:Osmanthus heterophyllus)は、モクセイ科モクセイ属の常緑小高木。雌雄異株。和名の由来は、葉の縁の棘に触るとヒリヒリ痛む(古語:疼く・疼ぐ)ことから。季語としては、「柊の花」 は冬。
○特徴
東アジア原産で、日本では本州(福島県以南)~四国・九州・沖縄の山地に分布しているほか、台湾でも見られる。高さは約2m。葉は対生し卵型、革質で光沢あり、縁には先が鋭い棘となった鋭鋸歯がある。また、老樹になると葉の棘は次第に少なくなり、葉は丸くなってしまう。花期は10~11月。葉腋に単性または両性の白色の小花を密生させる。花は同じモクセイ科のキンモクセイに似た芳香がある。花冠は鐘形で4深裂している。果実は翌年5~6月に熟し、長さ1.5cmほど、暗紫色に実る。殖やし方は、実生または挿し木。
○病虫害
ヒイラギは、庭木の中では病虫害に強い植物である。しかしヘリグロテントウノミハムシ(ハムシ科ノミハムシ亜科)に食害されることがある。この虫に寄生されると、春に新葉を主に、葉の裏から幼虫が入り込み食害される。初夏には成虫になり、成虫もまた葉の裏から食害する。食害された葉は、枯れてしまい再生しない。 駆除は困難である。防除として、春の幼虫の食害前に、農薬(スミチオン、オルトランなど)による葉の消毒。夏の成虫は、捕獲駆除。冬に、成虫の冬眠を阻害するため、落ち葉を清掃する。ヘリグロテントウノミハムシは、形状がテントウムシ」に良く似ていて、「アブラムシを食べる益虫」と間違えられ放置されやすい。ヘリグロテントウノミハムシは、テントウムシ類より触角が太く長く、また跳躍力が強く、人が触ると跳ねて逃げるので見分けがつく。
○その他の用途
鑑賞用:低木で常緑広葉樹であるため、盆栽などとしても作られている。
具材:幹は堅く、なおかつしなやかであることから、衝撃などに対し強靱な耐久性を持っている。この為、玄翁(げんのう)と呼ばれる重さ3kgにも達する大金槌の柄にも使用されている。特に熟練した石工はヒイラギの幹を多く保有し、自宅の庭先に植えている者もいる。他にも、細工物、器具、印材などに利用される。
防犯:葉に棘があるため、防犯目的で生け垣に利用することも多い。
魔除け:古くから邪鬼の侵入を防ぐと信じられ、庭木に使われてきた。家の庭には表鬼門(北東)にヒイラギ、裏鬼門(南西)に南天の木を植えると良いとされている(鬼門除け)。また、節分の夜、ヒイラギの枝と大豆の枝に鰯(いわし)の頭を門戸に飾ると悪鬼を払うという。
○類似の植物
似たような形のヒイラギモクセイは、ヒイラギとギンモクセイの雑種といわれ、葉は大きく縁にはあらい鋸歯があるが、結実はしない。クリスマスの飾りに使うのはセイヨウヒイラギ(学名:Ilex aquifolium)であり、「ヒイラギ」 とあってもモチノキ科という別の科に分類される別種である。その他、ヒイラギの鋭い鋸歯が特徴的なため、それに似た葉を持つものはヒイラギの名を与えられる例がある。外来種ではヒイラギナンテンがよく栽培される。他に琉球列島にはアマミヒイラギモチ、ヒイラギズイナがある。ほかに、鋭い鋸歯を持つものにリンボクがあり、往々にしてヒイラギと間違えられる。また、ヒイラギを含めてこれらの多くは幼木の時に鋸歯が鋭く、大きくなると次第に鈍くなり、時には鋸歯が見えなくなることも共通している。

イチジク

イチジク(無花果、映日果)は、クワ科イチジク属の落葉高木、またはその果実のことである。原産地はアラビア南部。不老長寿の果物とも呼ばれる。
○名称
「無花果」の字は、花を咲かせずに実をつけるように見えることに由来する中国で名付けられた漢語で、日本語ではこれに「イチジク」という熟字訓を与えている。中国で「映日果」は、無花果に対する別名とされた。「映日果」(インリークオ)は、イチジクが13世紀頃にイラン(ペルシア)、インド地方から中国に伝わったときに、中世ペルシア語「アンジール」(anj?r)を当時の中国語で音写した「映日」に「果」を補足したもの。通説として、日本語名「イチジク」は、17世紀初めに日本に渡来したとき、映日果を唐音読みで「エイジツカ」とし、それが転訛したものされている。 中国の古語では他に「阿?」「阿驛」などとも音写され、「底珍樹」「天仙果」などの別名もある。伝来当時の日本では「蓬莱柿」「南蛮柿」「唐柿」などと呼ばれた。いずれも“異国の果物”といった含みを当時の言葉で表現したものである。属名 Ficus (ficus)はイチジクを意味するラテン語。イタリア語: fico, フランス語: figue, スペイン語: higo, 英語: fig, ドイツ語: Feige など、ヨーロッパの多くの言語の「イチジク」はこの語に由来するものである。
○形態・生態
葉は大型の3裂または5裂する掌状で互生する。日本では、浅く3裂するものは江戸時代に日本に移入された品種で、深く5裂して裂片の先端が丸みを帯びるものは明治以降に渡来したものである。葉の裏には荒い毛が密生する。葉や茎を切ると白乳汁が出る。新枝が伸びだすと葉腋に花を入れた袋である花嚢がつく。下のものから順に育ち、花嚢は果嚢となって肥大化する。花嚢は倒卵状球形で、厚い肉質の壁に囲まれ、初夏に、花嚢の内面に無数の花(小果)をつける。このような花のつき方を隠頭花序という。雌雄異花であるが、イチジク属には雌雄同株で同一の花嚢に両方花をつける種と雌雄異株で雄株には同一の花嚢に雌雄両方の花、雌株には雌花のみを形成する種がある。栽培イチジクの栽培品種は結実に雌雄両株が必要な品種群が原産地近辺の地中海沿岸や西アジアでは古くから栽培されてきたが、受粉して雌花に稔性のある種子が形成されていなくても花嚢が肥大成長して熟果となる品種もあり、原産地から離れた日本などではこうした品種が普及している。イチジク属の植物は自然では花嚢内部にはイチジクコバチ(英語版)などのイチジクコバチ属Blastophaga spp.の蜂が共生しており雌雄異株の種では雄株の花嚢に形成される雌花の受精後の種子全てを、雌雄同株の種では花嚢内の雌花の柱頭の長短で2群に分かれるもののうち柱頭の短い型のものに形成される種子を幼虫時代の食物として繁殖し、雄花の花粉を体の花粉収納器官に収めた交尾後の雌が若い花嚢に潜り込み花粉を散布することで受粉を媒介する。日本で栽培されているイチジクはほとんどが果実肥大に日本に分布しないイチジクコバチによる受粉を必要としない単為結果性品種である。ほとんどの種類の果実は秋に熟すと濃い紫色になり、下位の部分から収穫することができる。甘みのある食用とする部分は果肉ではなく小果と花托である。
○利用
・歴史
原産地に近いメソポタミアでは6千年以上前から栽培されていたことが知られている。地中海世界でも古くから知られ、エジプト、ギリシアなどで紀元前から栽培されていた。古代ローマでは最もありふれた果物のひとつであり、甘味源としても重要であった。最近の研究では、ヨルダン渓谷に位置する新石器時代の遺跡から、1万1千年以上前の炭化した実が出土し、イチジクが世界最古の栽培品種化された植物であった可能性が示唆されている。日本には江戸時代初期、#名称節にもあるように、ペルシャから中国を経て、長崎に伝来した。日本に古く渡来したのが在来種で、のちに果樹として洋種が栽培されている。当初は薬樹としてもたらされたというが、やがて果実を生食して甘味を楽しむようになり、挿し木で容易にふやせることも手伝って、手間のかからない果樹として家庭の庭などにもひろく植えられるに至っている。
・食用
果実は生食するほかに乾燥イチジク(ドライフィグ)として多く流通する。生果・乾燥品ともに、パン、ケーキ、ビスケットなどに練りこんだり、ジャムやコンポートにしたり、スープやソースの材料として、またワインや酢の醸造用など、さまざまな用途をもつ。ほかにペースト、濃縮果汁、パウダー、冷凍品などの中間製品も流通している。日本国内では甘露煮にする地方もある。また、いちじくの天ぷらも流行している。果実には果糖、ブドウ糖、蛋白質、ビタミン類、カリウム、カルシウム、ペクチンなどが含まれている。クエン酸が少量含まれるが、糖分の方が多いので、甘い味がする。食物繊維は、不溶性と水溶性の両方が豊富に含まれている。
・薬用
熟した果実、葉を乾燥したものは、それぞれ無花果、無花果葉といい生薬として用いられる。6?7月頃に採取して日干しにした果実(無花果)には、水分約20?30%、転化糖約20?50%、蛋白質約4?8%、油脂油1-2%、有機酸、酵素、ビタミンC、ミネラルが含まれる。イチジクには整腸作用があり、果実を干したもの3?5個を600ミリリットルの水に入れてとろ火で半分まで煮詰めてかすを取り除いたものまたは、30分ほど煎じたものを1日3回に分けて服用して、便秘の緩下剤に使われた。生の果実をそのまま1日2?3個程度を毎日食べ続けても同様の効果が期待される。便秘のほかにも、滋養に利用されたり、痰の多い咳、のどの痛みや痔にも効能があるとされる。7?9月頃に採取した成熟した葉を日干しさせた無花果葉には、蛋白分解酵素、血圧降下作用があるプレラレエン、タンニンが含まれる。風呂に入れて浴用に使われ、冷え性、肌荒れ、痔の出血止め、脱肛、腰痛、神経痛に効能があるとされる。また果肉や葉から出る白い乳液にはゴムに近い樹脂分が含まれるが、民間薬として、疣に塗布したり、駆虫薬として内服した。正常な肌に乳液がつくと、かぶれやかゆみが起こることがある。
・その他の利用
またイチジクの樹液にはフィシンという酵素が含まれており、日本の既存添加物名簿に収載され、食品添加物の原料として使用が認められている。ほかにイチジク葉抽出物は製造用剤などの用途でかつて同名簿に掲載されていたが、近年販売実績がないため、2005年に削除された。


2017年6月10日土曜日

水月公園の菖蒲園を見に行ってきました。

水月公園の菖蒲園を見に行ってきました。



















朝顔展2017

夏の風物詩、アサガオの展示が行われます。西日本で植物園が行う朝顔展としては、有数の規模と内容となり、会期中毎日、鉢の入れ替えが行われ、大輪朝顔など延べ1000鉢のアサガオが展示されます。販売コーナーも併設されます。
所在地:〒606-0823京都府京都市左京区下鴨半木町
開催期間:2017年7月28日~8月1日朝顔の展示/7:00~12:00(午後は鉢の入れ替え)、開園時間/7:00~17:00(入園は16:00まで)
開催場所:京都府立植物園植物展示場(竹笹園東側)
交通アクセス:地下鉄烏丸線「北山駅」3番出口からすぐ、または地下鉄烏丸線「北大路駅」3番出口から東へ徒歩10分
料金:入園料が必要/一般200円、高校生150円、中学生以下・70歳以上無料
問合せ先:京都府立植物園075-701-0141
http://www.pref.kyoto.jp/plant/


早朝開園「観蓮会」2017

宇治市植物公園では蓮の見頃にあわせて、いつもより2時間早く開園されます。蓮の案内のほか、象鼻杯、蓮葉茶の試飲、蓮ヨガ体験などのイベントも催されます。
所在地:〒611-0031京都府宇治市広野町八軒屋谷25-1
開催期間:2017年7月15日~16日開園/7:00
交通アクセス:JR奈良線・京阪「宇治駅」から「近鉄大久保行(植物公園経由)」のバス「植物公園」すぐ、または近鉄「大久保駅」から「京阪宇治行(植物公園経由)」のバス「植物公園」すぐ
主催:宇治市植物公園
料金:入園料/大人500円、中小生250円
問合せ先:宇治市植物公園0774-39-9387
http://www.uji-citypark.jp/botanical/


京都府立植物園のヒマワリ2017

京都府立植物園内の前栽花壇や植物園会館前花壇で、ロシアをはじめ、クラレット、ショコラ、ダブルサンシャイン、ビッグスマイル、サンゴールド、モネのひまわり、リングオブファイアなど約30品種500株のヒマワリを見ることができます。熱帯植物を植栽している観覧温室、洋風庭園、沈床花壇、なからぎの森や植物生態園などもあり、園内の散策が楽しめます。7月21日からは、7時30分から早朝開園も行われ、夏の朝の清々しいひとときが満喫できます。
所在地:〒606-0823京都府京都市左京区下鴨半木町
開催期間:2017年7月中旬~8月下旬9:00~17:00(入園は16:00まで)
交通アクセス:地下鉄烏丸線「北山駅」3番出口からすぐ、または地下鉄烏丸線「北大路駅」3番出口から東へ徒歩10分
主催:京都府立植物園
料金:観覧無料※入園料が必要/一般200円、高校生150円、中学生以下・70歳以上無料
問合せ先:京都府立植物園075-701-0141
http://www.pref.kyoto.jp/plant


2017年6月8日木曜日

京都府立植物園夕涼み開園2017

「夕涼み開園」として、開園時間が18時30分まで延長されます。昼間の暑さを避けて、黄昏時に涼しい風に当たりながら、そぞろ歩きが楽しめます。移りゆく季節を肌で感じることができます。7月21日から8月13日は早朝開園も行われます。
所在地:〒606-0823京都府京都市左京区下鴨半木町
開催期間:2017年8月11日~20日【11日~13日】7:30~18:30【14日~20日】9:00~18:30※いずれも入園は18:00まで
交通アクセス:地下鉄烏丸線「北山駅」3番出口からすぐ、または地下鉄烏丸線「北大路駅」3番出口から東へ徒歩10分
主催:京都府立植物園
料金:入園料/一般200円、高校生150円、中学生以下無料
問合せ先:京都府立植物園075-701-0141
http://www.pref.kyoto.jp/plant

京都府立植物園夏の早朝開園2017

夏の朝の清々しいひと時を楽しめる早朝開園が、京都府立植物園で行われます。期間中、7月23日までは、鉢植えの蓮と碗蓮約180鉢を展示する「観蓮会」が、7月28日から8月1日の7時から12時には、京都独特の「数咲き作り」など延べ1000鉢を観賞できる「朝顔展」が行われます。7月21日から30日には、花の可視光線と紫外線照射写真を比較展示し、虫の目が視る花の色や姿について考える「むしの目展」が催されます。なかでも「朝顔展」は、植物園が行うものとしては西日本最大級の規模と内容を誇ります。
所在地:〒606-0823京都府京都市左京区下鴨半木町
開催期間:2017年7月21日~8月13日7:30~17:00(入園は16:00まで)
交通アクセス:地下鉄烏丸線「北山駅」3番出口からすぐ、または地下鉄烏丸線「北大路駅」3番出口から東へ徒歩10分
主催:京都府立植物園
料金:入園料/一般200円、高校生150円、中学生以下・70歳以上無料
問合せ先:京都府立植物園075-701-0141
http://www.pref.kyoto.jp/plant


ハス酒を楽しむ会2017

三室戸寺では、例年6月下旬から7月上旬にかけて、珍種の蓮の「大洒錦」や、有名な大賀ハスをはじめ、古代ハス、青円寺ハス、陽山紅、ミセススローカムなど、100種250鉢が見頃を迎えます。「ハス酒を楽しむ会」では、蓮の葉に酒を注ぎ、茎より飲む「象鼻杯」が体験できます。ハス酒は、古くから健康や長寿に効き目があると伝わります。
所在地:〒611-0013京都府宇治市菟道滋賀谷21
開催期間:2017年7月14日9:00~12:00
交通アクセス:京阪「三室戸駅」から徒歩15分、またはJR奈良線「宇治駅」から徒歩30分
料金:500円(先着300人限り)※入山料が必要
問合せ先:三室戸寺0774-21-2067
http://www.mimurotoji.com/



ビワ

ビワ(枇杷、学名: Eriobotrya japonica)は、バラ科の常緑高木。原産は中国南西部で日本にも野生種があったという説があり、多くは果樹として栽培され、高さはおよそ10メートルほどになる。葉は濃い緑色で大きく、長い楕円形をしており、表面にはつやがあり、裏には産毛がある。そして、その大きな葉陰に楽器の琵琶に似た形をした一口大の多くの甘い実がなり、黄橙色に熟す。実の中に大きな種を一つ持つ。語源は、葉の形や実の形が楽器の琵琶に似ているからとされる。中国語でも「枇杷」(ピン音: pipa; 粤?: pei4 paa4)と表記する他、「蘆橘」(ピン音: lu ju; 粤?: lou4 gwat1)とも呼ばれ、英語の「loquat」は後者の広東語発音に由来する。日本には古代に持ち込まれたと考えられており、主に本州南部や四国や九州に分布する。またインドなどにも広がり、ビワを用いた様々な療法が生まれた。中国系移民がハワイに持ち込んだ他、日本からイスラエルやブラジルに広まった。トルコやレバノン・ギリシャ・イタリア南部・スペイン・フランス南・アフリカ北部などでも栽培される。日本においては梅雨のころに実がなるため、「枇杷」及び「枇杷の実」は仲夏(芒種〔6月6日頃〕から小暑の前日〔7月6日頃〕まで)の季語とされている。また冬には、枝先にやや黄色味を帯びた白い五弁の小花を咲かせる。目立たない花ではあるけれどもかぐわしい香りを持ち、「枇杷の花」や「花枇杷」あるいは「枇杷咲く」などは初冬(はつふゆ:立冬〔11月8ごろ〕から大雪の前日〔12月7日ごろ〕まで)の季語となっている。
○植物学的特徴
葉は互生し、葉柄は短い。葉の形は20cm前後の長楕円形で厚くて堅く、表面が葉脈ごとに波打つ。縁には波状の鋸歯がある。枝葉は春・夏・秋と年に3度伸長する。花芽は主に春枝の先端に着く。花芽は純正花芽。花期は11?2月、白い地味な花をつける。花弁は5枚。葯には毛が密に生えている。自家受粉が可能で、初夏に卵形をした黄橙色の実をつける。果実は花托が肥厚した偽果で、全体が薄い産毛に覆われている。長崎県、千葉県、鹿児島県などの温暖な地域での栽培が多いものの若干の耐寒性を持ち、寒冷地でも冬期の最低気温-10℃程度であれば生育・結実可能である。露地成熟は5月?6月。
○栽培
栽培種を蒔くと簡単に発芽するので、観葉植物として楽しむことが出来る。生長が速いので剪定で小型に育てると良い。実生苗の結実には7~8年の歳月を要する。自家結実性のため、他品種を混植する必要はない。殖やし方は実生、接木であるが挿し木も可能。剪定は9月。露地栽培の場合、摘房・摘蕾を10月、開花は11月?2月、摘果を3月下旬?4月上旬、袋かけを摘果と同時に行う。果実が大きくなるとモモチョッキリの食害を受ける。品種江戸時代末期に日本に導入され、明治時代から、茂木(もぎ)や田中などの果樹としての品種がいくつかある。現在ではその他に大房、瑞穂、クイーン長崎(福原)、白茂木、麗月、陽玉、涼風、長生早生、室戸早生、森尾早生、長崎早生、楠、なつたよりなど多くの品種がある。中国びわとして冠玉や大五星などがある。2006年、種なしびわである希房が品種登録された。古代に渡来し野生化した物と考えられる自生木もあるが、種が大きく果肉が薄いため果樹としての価値はほとんど無い。産地日本では全国でビワの実が3,240トン(2012年産、農林水産省統計)収穫され、長崎県、千葉県(南房総市)、愛媛県、鹿児島県など温暖な気候の土地で栽培されている。特に長崎県は、全国の3分の1近くを産する日本一の産地となっている。近年は食の多様化や種子を取り出すなど食べにくさに加え、農家の高齢化等もあり、収穫量は2003年は9,240t、2008年は7,110t、そして2012年は3,240tと減り気味である。近年ではビニールハウスによる促成栽培も行われている。
○利用
食用果肉は甘く、生食されるほかに缶詰などに加工されるが、種子が大きく廃棄率が30%以上である。生食する場合の可食率は65?70%でバナナとほぼ同等である。ゼリーなどの菓子、ジャム等にも加工される。果実は咳、嘔吐、喉の渇きなどに対して効能を発揮する。薬用「大薬王樹」と呼ばれ、民間療薬として親しまれてもいる。なお、以下の利用方法・治療方法は特記しない場合、過去の歴史的な治療法であり、科学的に効果が証明されたものであることを示すものではない。葉はアミグダリンやクエン酸などを多く含み、乾燥させてビワ茶とされる他、直接患部に貼るなど生薬(枇杷葉(びわよう))として用いられる。葉の上にお灸を乗せる(温圧療法)とアミグダリンの鎮痛作用により神経痛に効果があるとされる。ただし、アミグダリンは胃腸で分解されると猛毒である青酸を発生する。そのため、葉などアミグダリンが多く含まれる部位を経口摂取する際は、取り扱いを間違えると健康を害し、最悪の場合は命を落とす危険性がある。果実酒氷砂糖とホワイトリカーだけでも作れるが、ビワは酸味が非常に少ないので、皮むきレモンの輪切りを加えて漬け込むとよい。また、果肉を用いずにビワの種子のみを使ったビワ種酒は、杏仁に共通する芳香を持ち、通の間で好まれる。木材乾燥させると非常に硬い上に粘りが強く、昔から杖の材料として利用されていた。現在でも上記の薬用効果にあやかり、乾燥させて磨いた物を縁起物の『長寿杖』と称して利用されている。激しく打ち合わせても折れることがないことから、剣道・剣術用の高級な木刀として利用されている。
○ビワにまつわる言葉等
桃栗三年柿八年枇杷(は早くて)十三年





ワスレグサ属

ワスレグサ属(学名 Hemerocallis)は、ユリ科(分類によってはワスレグサ科として分ける)植物の属のひとつ。別名、キスゲ属、ヘメロカリス属とも。中国では萱草(カンゾウ)属とも。花が美しいので園芸用に栽培され、園芸品種(デイリリー (daylily)、ヘメロカリス (Hemerocallis)と呼ばれる)も多数ある。また食用にされるものもある(日本では葉、台湾等で花など)。






トウネズミモチ

トウネズミモチ(唐鼠黐、学名Ligustrum lucidum)とはモクセイ科の植物の一種。中国中南部原産の常緑高木。花期は6~7月頃で黄白色の花を多数咲かせる。公園などの生け垣によく利用される。果実は紫黒色に熟するが、これは女貞子(じょていし)という生薬で強壮作用があるとされる。似た植物に同属のネズミモチ(L. japonicum)がある。本種は葉裏を光に透かしてみると葉脈の主脈も側脈も透けて見えるが、ネズミモチは主脈が見えるものの側脈は見えないので区別できる。また果実はともに楕円形であるが、本種の方が球形に近く、ネズミモチはやや細長い。







エノコログサ

エノコログサ(狗尾草、学名: Setaria viridis)は、イネ科エノコログサ属の植物で、1年生草本である。ブラシのように毛の長い穂の形が独特な雑草である。夏から秋にかけてつける花穂が、犬の尾に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ、漢字でも「狗(犬)の尾の草」と表記する。ネコジャラシ(猫じゃらし)の俗称は、花穂を猫の視界で振ると、猫がじゃれつくことから。
○分布
日本全土に分布する。
○特徴
草丈は40-70cmになる。茎は細く、基部は少し地表を這い、節から根を下ろす。夏には茎が立ち上がって伸び、先端に穂をつける。葉は匍匐茎にも花茎にも多数ついており、最大20cm位、イネ科としてはやや幅広く、細長い楕円形、薄く、緑色でつやがない。茎を包む葉鞘と、葉身の境目につく葉舌は退化して、その部分に毛だけが残る。また、よく葉が裏表逆になっている。葉の付け根でねじれて、裏側が上を向くもので、そのような葉では、上を向いた裏側の方が濃い緑でつやがあり、下を向いた表側の方が、裏のような様子になる。花序は円柱形で、一面に花がつき、多数の毛が突き出すので、外見はブラシ状になる。イヌビエなどの穂から出る毛は、小穂を包む鱗片(穎)の先端から伸びる芒であるが、エノコログサの場合、この毛は芒ではなく、小穂の柄から生じる長い突起である。
○小穂の構造
エノコログサの小穂は、果実が熟すると、一個の種子(実際には果実)を鱗片が包んだものに見える。小穂の中には花は一つしかない。しかし、本来は二つの小花があるべきもので、そのうち一つが退化したものと解釈されている。穂の軸から出る、短い柄の先に、普通は一個の小穂がつく。第一包穎は背が低くて横長で、表側の基部を包む。第二包穎は第三穎と共向き合って小花を包んでいる。その内側には護穎と内穎に包まれた花がある。本来は、第三は消失した小花の護穎であったもので、小花の消失とともに内穎もなくなったものである。
○利用
現在は、一般的に食用としては認識されていないが、粟の原種であるので食用に使える。若い葉と花穂は軽く火であぶり、醤油などで味付けしたり(風味はポップコーンに酷似)、天ぷらにしたりして食べられる。ただし、終戦直後大量に食べて中毒を起こした学者がいる。近代以前の農村では、酷い飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともあった。オオエノコロは粟の遺伝子が流入しているので食用に供しやすい。また、猫じゃらしの名の通り、これを用いて猫をじゃらすことができる。
○変異
エノコログサはさまざまな所に生え、そのためもあってか種内変異が多い。
・ハマエノコロ S. v. var. pachystachys (Fr. et Sav.)
海岸に生える型。違いとしては、背が低く、比較的よく地表を這うこと、茎や葉が短く硬いこと、それに、穂が短くほとんど楕円形で、小穂が密で毛が長く、そのために穂の外見がかなり異なる点が挙げられる。ただし、内陸に入ると次第に普通の型に移行する。
・ムラサキエノコロ S. v. f. purpurascens Maxim.
これは特に穂の剛毛が紫に染まるものである。
○エノコログサ属
・エノコログサ属(学名: Setaria)の特徴は、先に述べたような小穂を円錐花序につけるものである。また、小穂のつく枝に刺状の突起をもつ。世界に約100種が知られる。日本にある同属の種は7種ばかりある。
・エノコログサ Setaria viridis P. Beauv.
・アワ Setaria italica Beauv.
エノコログサ最大の変異である。別種として扱われているが、エノコログサを元に作り出されたものと考えられている。エノコログサに比べると、高さは1mを越え、花序の長さは20cmにもなる。また、熟しても果実が簡単にはこぼれず、これは収穫をたやすくしている。かつては日本でも広く栽培された。
・オオエノコロ Setaria x pycnocoma (Steud.) Henrard ex Nakai
アワとエノコログサとの雑種。エノコログサに似るが、穂が一回り大きく、また、エノコログサでは穂の軸の枝に小穂が一つずつつくのに対して、その枝に複数の小穂がついて、円錐花序になる点が異なる。畑地に時折見かけられる。
・アキノエノコログサ Setaria faberi Herrm.
エノコログサに最もよく似ているが、やや毛が多く、穂が細長くて垂れることなどが外見上の相違点である。小穂を見れば、エノコログサでは第二穎が小穂の長さと同じで、小花が隠れるのに対して、この種では第二穎が短く、小花が半分顔を出す。そのため、この両者は別種とされている。
・ザラツキエノコロ Setaria. verticillata (L.) Beauv.
穂の剛毛に細かい逆棘があって、さわると非常にざらつくのが特徴である。群生しているところでは、穂が互いに絡み合っているのが見られる。
・キンエノコロ Setaria glauca L.
やや細い穂を出す。穂は長さ3-10cmで直立し、茎や葉には毛がない。穂からでるブラシ状の毛が金色をしているのが名前の由来である。北半球の温帯に広く分布し、日本でもほとんど全土に普通に見られる。
・コツブキンエノコロ Setaria pallide-fusca (Schumch.) Stapf et C. E. Hubb.
キンエノコロに似て、小穂が一回り小さい。北半球の温帯に広く分布し、日本でもほとんど全土に普通に見られる。
・イヌアワ Setaria chondrachne (Steud.) Honda
日本の本州から九州の木陰にはえる多年草で、夏から秋にかけてまばらな円錐花序をつける。
・ササキビ Setaria palmifolia (Koenig) Stapf
木陰にはえる多年草で、葉が幅広く、多数の縦じわがあって、ちょっとシュロの葉を思わせる。九州以南にあり、広くアジアの熱帯域に分布する。やはりまばらな円錐花序をつける。



2017年6月4日日曜日

ハナショウブ

○解説
ハナショウブはノハナショウブ(学名I. ensata var. spontanea)の園芸種である。6月ごろに花を咲かせる。花の色は、白、ピンク、紫、青、黄など多数あり、絞りや覆輪などとの組み合わせを含めると5,000種類あるといわれている。大別すると、江戸系、伊勢系、肥後系の3系統に分類でき、古典園芸植物でもあるが、昨今の改良で系統色が薄まっている。他にも原種の特徴を強く残す山形県長井市で伝えられてきた長井古種や、海外、特にアメリカでも育種が進んでいる外国系がある。近年の考察では、おそらく東北地方でノハナショウブの色変わり種が選抜され、戦国時代か江戸時代はじめまでに栽培品種化したものとされている。これが江戸に持ち込まれ、後の三系統につながった。長井古種は、江戸に持ち込まれる以前の原形を留めたものと考えられている。一般的にショウブというと、ハナショウブを指すことが多い。しかし、菖蒲湯に使われるショウブは、ショウブ科またはサトイモ科に分類される別種の植物である。
○伝統品種群の系統
江戸系:江戸ではハナショウブの栽培が盛んで、江戸中期頃に初のハナショウブ園が葛飾掘切に開かれ、浮世絵にも描かれた名所となった。ここで特筆されるのは、旗本松平定朝(菖翁)である。60年間にわたり300近い品種を作出し名著「花菖培養録」を残し、ハナショウブ栽培の歴史は菖翁以前と以後で区切られる。こうして江戸で完成された品種群が日本の栽培品種の基礎となった。
肥後系:肥後熊本藩主細川斉護が、藩士を菖翁のところに弟子入りさせ、門外不出を条件に譲り受けたもので、「肥後六花」の一つである。満月会によって現在まで栽培・改良が続けられている。菖翁との約束であった門外不出という会則を厳守してきたが、大正時代にこれを売りに出した会員がおり、瞬く間に中心的な存在となった。
伊勢系:伊勢松阪の紀州藩士吉井定五郎により独自に品種改良されたという品種群で、「伊勢三品」の一つである。昭和27年(1952年)に「イセショウブ」の名称で三重県指定天然記念物となり、全国に知られるようになった。
長井古種:山形県長井市で栽培されてきた品種群である。同市のあやめ公園は明治43年(1910年)に開園し、市民の憩いの場であった。昭和37年(1962年)、来訪した中央の園芸家によって三系統いずれにも属さない品種群が確認され、長井古種と命名されたことから知られるようになった。江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、少なくとも江戸中期以前の原種に近いものと評価されている。長井古種に属する品種のうち13品種は長井市指定天然記念物である。




ナス

ナス(茄子、茄、ナスビ、学名:Solanum melongena)はナス科ナス属の植物。また、その果実のこと。
○概要
原産地はインドの東部が有力である。その後、ビルマを経由して中国へ渡ったと考えられている。中国では茄もしくは茄子の名で広く栽培され、日本でも1000年以上に渡り栽培されている。温帯では一年生植物であるが、熱帯では多年生植物となる。平城京の長屋王邸宅跡から出土した木簡に『進物 加須津毛瓜 加須津韓奈須比』との記述があり、高位の者への進物にナスの粕漬けが使われていたことが判明した。また、正倉院文書には「天平六年(734年)茄子十一斛、直一貫三百五十六文」をはじめとして多数の「茄子」の記述がみられる。これらのことから、日本では奈良時代すでにナスの栽培が行われていたことがわかる。実の味から「中酸実」(なかすみ)が語源とされる。夏に実がなるので「夏実」(なつみ)と読んだが、それが訛って「なすび」(奈須比)と呼ばれたとする説もある。室町時代頃に宮廷の女官が女房言葉として「なす」と呼び、その呼称が定着した。元は貴重な野菜であったが、江戸時代頃より広く栽培されるようになり、以降日本人にとってなじみのある庶民的な野菜となった。葉とヘタには棘があり、葉には毛が生えている。世界の各地で独自の品種が育てられている。賀茂茄子などの一部、例外もあるが、日本においては南方ほど長実または大長実で、北方ほど小実品種となる。本州の中間地では中間的な中長品種が栽培されてきた。これは寒い地域では栽培期間が短く大きな実を収穫する事が難しい上に、冬季の保存食として小さい実のほうが漬物に加工しやすいからである。しかし食文化の均一化やF1品種の登場により野菜炒めや焼き茄子など、さまざまな料理に利用しやすい中長品種が全国的に流通している。日本で栽培される栽培品種のほとんどは果皮が紫色又は黒紫色である。しかしヨーロッパやアメリカ等では白・黄緑色・明るい紫、さらに縞模様の品種も広く栽培される。果肉は密度が低くスポンジ状である。ヘタの部分には鋭いトゲが生えている場合がある。新鮮な物ほど鋭く、鮮度を見分ける方法の一つとなるが、触った際にトゲが刺さり怪我をすることがある。収穫の作業性向上や実に傷がつくという理由から棘の無い品種も開発されている。品種によって様々な食べ方がある[5]。栄養的にはさほど見るべきものはないが、東洋医学では体温を下げる効果があるとされている。和漢三才図会ではヘタにしゃっくり止めの効果があるとされるが、俗信の域を出ない。また皮の色素ナスニンは抗酸化作用があるアントシアニンの一種である。なかには、「赤ナス」のような観賞用として生け花などにも利用されているもの(熊本県などで「赤ナス」の商品名で栽培されている食用の品種とは別物、また赤茄子はトマトを表す)もある。赤ナスは食用のナスの台木としても用いられる(観賞用の赤ナスは味などにおいて食用には適さないとされる)。
○栽培
基本は「三本仕立て」である。一番花のすぐ下2つのわき芽を残し、他のわき芽はすべて摘み取る。原産がモンスーン気候地帯であることから、蒸し暑い日本の夏を好む。乾燥を嫌うため、藁やビニールなどでマルチングをするとよい。「ナスの葉は座布団にせよ」との格言があるほどで、開花するまでに枝葉を充分に発達させる。畝幅は広めに取り、根張りをよくするために肥料は薄く幅広くまんべんなく施す。追肥を充分に与える。石ナスと呼ばれる食用に適さない硬い実が着く事がある。石ナスの原因は水不足や肥料不足などとされるが主な原因は受粉(受精)不良であり、さらに詳しくは受精後に分泌される植物ホルモンの不足である。受粉不良の原因は水不足や肥料不足などによる樹勢の低下である。また温室・ハウス栽培では樹勢が十分であっても低温や高温によって花粉の受精能力が低下しやすく、この場合は人工的に植物ホルモンを与えてやれば解決する。7月末頃になると、病虫害や自然な傷み、さらに枝の老化によって実付きが悪くなる。そこで、お盆頃に思い切って地面から高さの約2分の1くらいの高さに切返し剪定(更新剪定)を行う。切り返し剪定と同時に根元にスコップを刺して根を切断することもある。これを行うことによって9月には再び新芽が出てきて、美味しい「秋ナス」が収穫できる。冬作物の作付けの為に早めに栽培を終了する場合は切り返し剪定を行わない事もある。また、ナスは連作障害を起こしやすい野菜である。ナスを連作した場合のみならず、トマト、ジャガイモ、ピーマン、シシトウなど同じナス科の野菜とも相性が悪く、何も処置を施さない場合、5-7年以上間を空けないと障害が起きやすいといわれている。皮の色は紫外線を浴びる事で発色する。かつて温室やハウス栽培では被覆資材が紫外線を吸収してしまい実に色が着かない問題が発生したことがある。現在では紫外線を透過する資材が利用されている。紫外線を通さないシールを貼り付ける事で実に模様を描くことができる。
○品種
品種は日本で概ね180種類を超える。世界では1,000種類もあると言われている。


万博記念公園早朝観蓮会&象鼻杯2017

万博記念公園の日本庭園はす池で、強い芳香を放つハスが早朝に咲く神秘的な様子を見ることができます。ハスの葉を杯にして茎からお酒を飲む姿が、象が鼻を上げている姿に似ていることからその名がついた「象鼻杯」も行われます(土日祝のみ)。ハスと象鼻杯の写真コンテストも開催され、清々しい朝の散策が楽しめます。
所在地:〒565-0826大阪府吹田市千里万博公園
開催期間:2017年6月30日~7月2日・7日~9日・14日~17日※象鼻杯は土日祝のみ
開催場所:万博記念公園日本庭園はす池
交通アクセス:大阪モノレール「万博記念公園駅」・「公園東口駅」下車、またはJR京都線「茨木駅」から近鉄・阪急バス「日本庭園前」・「万博記念公園駅(エキスポシティ前)」下車
主催:大阪府
料金:入園料が必要(日本庭園)/大人250円、小中学生70円
問合せ先:万博記念公園総合案内所06-6877-7387
http://www.expo70-park.jp/

アヤメ

○解説
アヤメは山野の草地に生える(特に湿地を好むことはない)。葉は直立し高さ40~60cm程度。5月ごろに径8cmほどの紫色の花を1-3個付ける。外花被片(前面に垂れ下がった花びら)には網目模様があるのが特徴で、本種の和名のもとになる。花茎は分岐しない。北海道から九州まで分布する。古くは「あやめ」の名はサトイモ科のショウブを指した語で、現在のアヤメは「はなあやめ」と呼ばれた。
○毒性
毒成分 イリジェニン、イリジン、テクトリジン
毒部位 全草、根茎、樹液
毒症状 皮膚炎、嘔吐、下痢、胃腸炎
○アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの見分け方
アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの同定は慣れれば一目瞭然であるが、見分けのつかない向きも多い。堀切菖蒲園には、その見分け方として次の記述の掲示がある(2005年6月現在)。
・アヤメ
花の色:紫、まれに白
葉:主脈不明瞭
花の特徴:網目模様、外側の花びらに黄色い模様がある
適地:かわいた所に育つ
開花期:5月上旬~中旬
・カキツバタ
花の色:青紫のほか紫、白、紋など
葉:主脈細小
花の特徴:網目なし
適地:水中や湿った所に育つ
開花期:5月中旬~下旬
・ハナショウブ
花の色:紫、紫、絞、覆輪など
葉:主脈太い
花の特徴:網目なし、花の色はいろいろある
適地:湿ったところに育つ
開花期:6月上旬~下旬
・外花被片の模様での見分け方
アヤメ:外花被片に網目模様が有る
カキツバタ:外花被片に網目模様無し、外花被片に白い斑紋が有る
ハナショウブ:外花被片に網目模様無し、外花被片に黄色い斑紋が有る